スタッフ/MVパートナー便り
日本人が大切にしてきたこと ~なつこ~
MVに出逢うはるか前、
熱心に茶道を習っていたときの話を書いてみようと思います。
江戸時代へタイムスリップしたかのような
とても厳しい、昔かたぎな先生に習っていました。
稽古が始まり
お茶碗を手に持って
茶道口(さどうぐち)に一歩入った瞬間から
「お茶椀をもう少し上に」「いやもう少し下」
と、ミリ単位の指導がいつも細かく入りました。
先生にはわかっていても
結局どこが正解なのか
私は何十回やっても
さっぱりわかりませんでした(;^_^A)
そんな稽古が終わってから
自分でももっと考えてみようと
お茶碗を手に持ち
鏡を見ながらみぞおちから
ゆっくりと下に降ろしていく実験をしました。
そしてある所で
おさまると言いますか
しっくりくる所がありました。
あ!
もしかしてここかな?と。
その場所というか感覚を覚えておきました。
そして
次の稽古の時に
そのしっくりくる場所にお茶碗を持って
茶道口に入った時です。
なんと先生が初めて
うん(OK!)
とうなずいて何も言わなかったのです!
上でも下でも無く
右でも左でも無く
そこ
だったんです。
落ち着く場所だったんです。
もうびっくりです。
そうかと。
ここなんだと。
当時はチャクラとか言葉も知らないのですが
そうです。
下丹田の位置なんです。
でもマニュアル通りに
臍から下に何センチという話ではなく
あくまで
しっくりくるという感覚が大事なんです。
茶椀を手に持った時に
落ち着く場所なんです。
先生はもうご高齢でお亡くなりになりましたが
震えあがるほど厳しく
妥協せず
聡明で
洗練されていて
通りいっぺんの作法や
手順だけでは絶対に善しとせず
その人の雰囲気・空気感・醸し出すものや間を
すごく大切にされていました。
それこそ、凡庸な私にとって
一朝一夕でどうこうなるものではありませんでした。
でも、昔の日本人って
こういうことを本当に大事にしていたんだろうなと。
マニュアルをはるか超えたところの
感性や間、視線、呼吸
曖昧に観えるもの、まとうものを大事にしていたと言いますか。
むしろそちらの方こそ
大切と言いますか。
ま~やさんの言う
どの世界でもトップレベルの人は
当たり前に目に観えない世界に
意識が向いている、拡がっている。
そんな先生でした。
生粋の大金持ちの方でもありましたし、
死に際は
ぱっと、さらっとされていたり
今考えると
とても学びの多い方との出逢いでした。